『無痛分娩』をご存じでしょうか。麻酔によって陣痛をある程度まで抑える出産です。
麻酔をしたとしても完全に痛みがゼロになるわけではないので、当院ではこれを「和痛(わつう)分娩」と呼んでいます。
ただし麻酔をすることで合併症も生じてくるため、当院では麻酔の専門家である麻酔科と連携し、安全性の高い和痛分娩の実現を目指しています。
(当院の麻酔科メンバーは全員が日本麻酔科学会認定 麻酔科専門医の資格を有しています)
当院では2017年から麻酔によって陣痛を抑える『和痛分娩』を行なっています。普通分娩とはどのような違いがあるのでしょうか? 痛みが少ない和痛分娩は通常分娩と比べて‥
|
最大のメリットは出産の『痛み』に対する不安を小さくできること! |
アメリカやフランスではなんと8割以上の人が和痛分娩!和痛がむしろ普通!って知っていますか?世界的には和痛分娩は分娩の方法の一つとして確立されています。 日本でもできるならやりたい!という人、実は増えています。 ただ日本ではできる施設がまだ少ないので、賛成、反対...色々な声があります。 お産の方法は、ぜひ自分で選んでみてください。 当院では「和痛分娩」という選択肢も準備していますので、ご希望の方には全力でお応えします。 |
H31(R1) | R2 | R3 | R4 | R5 | |
出産件数 | 503 | 452 | 464 | 488 | 430 |
うち和痛分娩件数 | 26 | 37 | 70 | 86 | 97 |
うち帝王切開件数 | 78 | 85 | 85 | 113 | 87 |
1. 和通分娩を希望
検診で和痛希望を伝えます。医師が和痛分娩に関するメリットやデメリットなど丁寧に説明します。 |
2. 36週に麻酔科受診
36週に麻酔科を受診して頂き、麻酔科医の観点で和痛分娩のご説明をします。気になることや不安に思うことは遠慮なくご質問ください。 |
3. 痛み止めの管を挿入
入院日に背中に痛み止めの細い管を入れて麻酔効果の確認を行います。充分な効果を確認できたら管を背中に残しておきます。 |
4. 子宮収縮剤投与
子宮収縮剤を投与して、陣痛をつけていきます。 |
5. 陣痛
陣痛が我慢できないレベルになってきたら背中の管に痛み止めを入れ、麻酔を開始します。初産の方は経産の方より時間がかかる場合があります。 |
6. 出産
痛みが少ない状態で出産を迎えることができます。産婦人科医に加え、必要に応じて麻酔科医や小児科医も対応します。 |
17:00以降の夜間陣発の場合、基本的には対応していません。
陣痛が翌9:00を超えるまで続いていた場合、そこから麻酔を開始します。
痛みを0~10とすると、0−2程度におさえることを目標として麻酔をしています。
しかし麻酔効果は個人差があり、分娩進行をさまたげない麻酔にすると痛みが3以上になる可能性もあります。
(そのため当院では、『無痛分娩』ではなく『和痛分娩』と呼んでいます。)
麻酔効果が出て痛みが抑えられると、同時に子宮収縮を弱める作用が出ることもあります。子宮収縮が分娩を進める力の一つですので、弱まるとそれによって出産の時間が延長し、吸引して分娩のお手伝いが必要になる場合や、子宮収縮剤を増やすことが必要になる場合もあります。
ホントのところどうなの?不安‥みなさんの多くの疑問に少しお答えします!
|
|
|
|
- どんな麻酔方法?
- 「硬膜外麻酔」です。背中から脊髄のそばにチューブを入れ、局所麻酔薬で痛みをおさえる方法です。
- いつ出産になってもできるの?
- 基本完全予約制、計画分娩で平日日中のみです。
事前に麻酔科受診も必要ですので、興味のある方は早めにお申し出ください。 - 誰でもできるの?
- 出血しやすい方、脊髄に進行性の病気のある方、針をさす背中の皮膚や全身に感染症のある方、脊椎の術後の方などは、麻酔できない場合も麻酔科受診時に判断させていただきます。
- 麻酔の合併症が怖いのですが‥どんな合併症がありますか?
- 硬膜穿刺による頭痛、薬投与後の血圧低下、吐き気、発熱、薬剤効果による足が重さ、しびれ、違和感、耳鳴り、舌のしびれなどから始まる中毒症状やアナフィラキシーなどショック、呼吸異常など、重い症状が出る可能性はゼロではありません。
麻酔時は必ず麻酔科医がそばにいますので、違和感を感じたらすぐに言っていただくと重大な合併症を引き起こす前に素早く対応できます。 - 和痛分娩をしたらお金はいくらかかりますか?
- 通常の分娩費用 + (最大)10万円です。(施行した医療行為により差はあります)
※無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)よりデータ作成
麻酔科医師
皆さんが地元で安心して出産できるように、そして、安心して子育てに向き合えるために。当院では、産前から産後まで一人一人に寄り添った対応を大切にしながら、医師・助産師をはじめ関係スタッフが協働して取り組んでいます。広報誌いたわりPlus 第14号(2024年10月号)で特集記事としてご紹介していますので、こちらもぜひご覧ください。 |